10系アルファードハイブリッド、30系ヴェルファイアハイブリッド それぞれの燃費を伸ばすコツ
トヨタのハイブリッド車には2007年の10系アルファードハイブリッドから30系ヴェルファイアハイブリッド、そして今回の40系ヴェルファイアハイブリッドと、3代に渡ってもう16年以上乗り続けていて、燃費を伸ばすコツは十分会得しているつもりの私ですが、まず最初の10系の時と30系ではその方法が異なっていました。
2007年8月~2016年3月 10系アルファードハイブリッド
ハイブリッド車で燃費を稼ぐために重要なのは「モーターだけで走る時間を増やす」ということですが、10系ハイブリッドはとにかくモーターが弱く、スタートダッシュである程度アクセルを強く踏み込んでエンジンのパワーで素早くスピードに乗せ、その後アクセルを戻してモーター走行に切り替える、という走り方が燃費を伸ばすのに効果的でした。
2016年3月~2023年10月 30系ヴェルファイアハイブリッドZR
30系になるとモーターが飛躍的にパワーアップしていて、発進時に上手くアクセルをコントロールすればモーターだけで巡航速度まで加速することも可能となり、10系より大幅に燃費を延ばすことが可能となりましたが、そこにはある「落とし穴」が待ち受けていたのです。
それは「充電地獄」と言われる状況に陥ってしまうことです。
燃費を悪くする「充電地獄」とは?
充電地獄とは、駆動用バッテリーの充電率が低下し、充電するためにエンジンが回り続けてしまう状況のことを指します。
30系ヴェルファイアのハイブリッドシステム、その制御アルゴリズムの中で最も重要視していると思われるのが「バッテリー充電率の管理」。具体的にはそのバッテリー充電率が40%から80%の間に収まるように制御されているのです。
これはバッテリーの寿命を長く保つための重要な充電制御であると考えられ、おそらくTOYOTAのハイブリッド車はすべて同様のアルゴリズムが採用されているのではないかと思われます。
このアルゴリズムに従って、充電率が40%を切ると走行シチュエーションに関わらずエンジンを始動し充電を開始するのですが、一旦この「充電モード」に入ると、たとえ赤信号で停止している状況であっても、充電率が50%になるまでエンジンは勢いよく回り続けるという状況にに陥ってしまう‥‥‥これが「充電地獄」という状態です。
一旦充電地獄に陥ってしまうと、走行していなくてもエンジンは充電のため勢いよく回り続けるので、燃費に悪影響を及ぼします。
なので、燃費を伸ばすためには充電地獄に陥らないように、充電率が40%を切らないよう意識して運転することが重要になってきます。
「バッテリー充電率」を知るにはレーダー探知機が必要
この「充電率が40%から80%の範囲内にあるよう制御されている」ということは、どこにも書かれていない事実なのですが、私は30系ヴェルファイアハイブリッドの時に「ある機器」を取り付けることによってそれを知ることができたのです。
そうです、その機器とは「レーダー探知機」。と言ってもスピード違反で捕まるのを避けるため?の「レーダー探知機能」が必要なのではなく、レーダー探知機の付随機能である「OBDデータの読み取りと表示」が必要になるのです。
30系の時から引き続き使用しているセルスターの「AR-252GA」↓
これはもう型遅れで、現在は後継モデル「AR-W55GA」が販売中↓
TOYOTAハイブリッドの車両データを表示するにはこれが必要↓
このOBDⅡアダプター「RO-117」を接続する車両側コネクターは運転席フットレスト上方にあります↓
このコネクター(白い部分)にRO-117を差し込み、レーダー探知機の待ち受け画面を「HVシステム」に設定して、その中から表示させたい項目を選びます。
表示させる項目は沢山あるのですが、私は上の画像のような表示内容にしています。
左上から「エンジン回転数」その右下は「方位計(コンパス)」、右枠は上から「アクセル開度」「HV BA充電率(ハイブリッドバッテリー充電率)」「Fモーター出力」。この中で「コンパス」と「Fモーター出力」はさほど重要ではない項目ですが、それ以外は燃費向上のためには絶対必要な情報です。
まず「エンジン回転数」はまさに今エンジンがかかっているのか、それともモーターのみで走行しているのかを知るために欠かせない情報で、「アクセル開度」は今自分がどのくらいアクセルペダルを踏み込んでいるのかを知るために必要な情報。
そして「HV BA充電率」。前述のとおりこれを知ることがトヨタのハイブリッド車の燃費を向上させるために絶対必要なのです。
具体的には、バッテリー充電率が40%に近づいてきた時点で、意識的にアクセルを多めに踏み込んでエンジンを回しながら走行してやれば充電地獄に陥る可能性を低く抑えることができ、結果的に燃費を伸ばすことにつながるのです。
しかし、OBDⅡコネクターに外部機器を接続することは、最近のセンサーだらけのクルマでは大きなリスクがあります。
40系アルヴェルにレーダー探知機をOBDⅡアダプターで接続するのはリスクもあり
セルスターのOBDⅡアダプター適合表の注意書きをよく読むと‥‥‥
文字だらけで解りにくいので、重要な部分だけ書き出してみます。
・適合表に記載のない車両には取付できません。記載があっても備考欄の内容によって動作に影響がでる場合があります。
・車両メーカーやディーラーによっては、OBDII アダプターの車両への取り付けを推奨していない場合があります。 お客様のご判断で取り付けをおこなってください。
・車両のディーラーに入庫する際は、 車両からOBDIIアダプターを取り外してください。ディーラーによっては入庫を断られる場合があります。
・長期間車両を使用しない場合は車両からOBDIIアダプターを取外してください。
・OBDII アダプターを取り付けたことによる車両の安全装置 (衝突回避支援システム、 運転支援システム、 衝突被害軽減ブレーキなど)の誤作動、車両や車載品の故障、 事故など附随的損害については一切その責任を負いません。
・「週末に短距離しか乗らない」 など補機バッテリーの充電機会が少ないお車でのOBDIIアダプターのご使用は、 補機バッテリーの劣化を早めてしまう可能性がありますので お控えください。 お車のバッテリー上がりに関して弊社は一切の責任を負いかねます。
ちなみに、先代の30系(前期)ヴェルファイアハイブリッドは適合表に載っていましたが、30系後期、そして40系は適合表に載っていません。セルスターとしては「40系には取り付けできません」と言っているわけです。
でも、実際には取り付けできて、問題なくエンジン情報も表示されるのですが、一番の問題は上の赤字で書いてある部分でしょうね。
つまり、取り付けることによって誤作動が出たり故障したり、あるいは事故につながったとしてもセルスターとしては一切責任を持ちません。取り付けたい場合は自己責任で取り付けてください、と言っているわけです。
これではちょっと取り付けをためらってしまいますが、40系ヴェルファイアの取扱説明書で「OBDⅡ」で検索すると、ヒットしたのは下記の赤枠で囲った部分1件だけでした。
ということは「OBDⅡ接続をするとリモートメンテナンスサービスが行えない場合があるけど、それ以外は大きな問題はありません」と受け取れると思うのです。
なぜなら、もしもOBDⅡアダプターを接続することによって安全運転支援システムに不具合が出たり、車両が故障する恐れがあるのだったら、トヨタとしてはそれをやめさせるよう取扱説明書に明記するに違いない‥‥‥私はそう判断し、自己責任の元にこのレーダー探知機をOBDⅡアダプターで接続しています。
そして約2カ月経過し、走行中に車両の不具合等は出ていません。
しかし‥‥‥実を言うとこれまでに2回ほど、走行していない時に補器バッテリーが上がってしまい、ハイブリッドシステムが起動できなくなってしまったことがありました。
取扱説明書の注意事項をよく読むと、こんなことが書いてありました。
そうなんです、OBDⅡに接続した機器にはメインスイッチのON/OFFに関わらず常に電流が流れているんですね。
この注意書きを読んで以降、乗らない時はOBDⅡアダプターを外すようにしたところ、補器バッテリーが上がることはなくなり、不具合が出ることもなく車両情報を表示しながら走ることができています。
その結果、30系ヴェルファイアハイブリッドと40系ヴェルファイアハイブリッドの違いが徐々に解ってきました。
OBDⅡデータから見えてきた30系と40系の違い(正直者と気分屋!?)【動画あり】
簡単に言うと、30系はわかりやすい正直な性格で、40系は気分屋で性格がつかめない、という印象なのです。
30系はハイブリッドインジケーターの針がECOの線を越えなければモーターのみで加速してくれるのですが、40系はECOを越えなくてもエンジンがかかってしまうことがあるのです。
(これは40系のメーター画像です)
そして30系はバッテリー充電率が40%を下回ると必ずエンジンがかかって充電を始め、充電率が50%に達した時点でエンジンが止まる、という挙動がとてもはっきりしていて分かりやすいのだけど、40系はその時の気分で(?)まちまちという印象なのです。
40系の納車が近づいていたある日、30系で渋滞した道路を走っている時にこのレーダー探知機の画面を撮った動画をご覧ください。
上の動画は40系が納車される一カ月ほど前に撮影したものですが、バッテリー充電率が39%になると同時にエンジンがかかり、50%になるとエンジンが止まるという30系ヴェルファイアハイブリッドの充電制御の様子がはっきりと分かります。
で、40系に同じレーダー探知機をOBDⅡアダプターで接続した結果は、この30系の時のように充電率できっちりと制御されている感覚があまりない、というか解りにくい感じなんですよね~。
そう、30系は「正直者」なのに対して40系は「気分屋」という表現がピッタリという印象。
今後、40系のレーダー探知機表示画面の動画も制作予定です。お楽しみに。
【1/30追記】
その動画アップしました↓